Case studies
事例: スターバックス

背景

スターバックスは1971年に創業し、世界を代表するコーヒーショップに成長し、世界でもっとも賞賛される企業の一つとなった。

 
使命

スターバックスのミッションは、「当社の原則を一貫して守りつつ事業を拡大し、世界の最高級コーヒーの加工から小売まで一貫して扱う一流コーヒー専門会社としてのスターバックスを築いていく」。(スターバックス日本語ウェブサイトより引用)である。

 
行動指針(スターバックス日本語ウェブサイトより引用)
  • お互いに尊敬と威厳をもって接し、働きやすい環境をつくる
  • 事業運営上での不可欠な要素として多様性を受け入れる
  • 事業運営上での不可欠な要素として多様性を受け入れる
  • コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、常に最高級のレベルを目指す
  • 顧客が心から満足するサービスを常に提供する
  • 地域社会や環境保護に積極的に貢献する
  • 将来の繁栄には利益性が不可欠であることを認識する

上記行動指針は、スターバックスのCSR(企業の社会的責任)に直接結びついている。従業員やビジネスパートナーを利害関係者と定義し、スターバックスがコミュニティーの善良な市民となるよう定めている。創業の第一日目から、スターバックスの事業は上記行動指針を礎としてきた。1991年のスターバックス上場の際、ハワードシュルツは週に20時間以上働いている従業員全員にストックオプションを与えた。各店舗で働く通常の従業員もその対象だった。

 

プログラム

新規店舗開店、コーヒーの栽培、事業推進を通じて、実利的なものを超えたところでスターバックスのCSR活動ははっきりとした形で現れている。

  1. 従業員に対してのCSR活動
  2. 供給者に対してのCSR活動---NPO団体との協力を通じて
  3. 地域社会に対してのCSR活動
  4. さらに最近では、募金活動を通じてのCSR活動
スターバックスの活動はコーヒー産業全体に対して、大きな影響を与えてきた。
 
従業員に対して
週20時間以上働いている従業員全員に対して健康保険を提供するという決定は、雇用主の履行義務を遥かに超えたものである。このような福利厚生はいらないという強い主張も起こりえる。従業員の定着がファストフード各社で問題となっている中、スターバックスの福利厚生は従業員を定着させておくために必要であるものを超越しているとするアナリストは多い。スターバックスがパートタイマーに対しても健康保険を提供するという決定は、同業他社に同様に健康保険を提供しなければならないというプレッシャーを与えた。
 

供給元に対して

取引市場で最安価のコーヒーを購入するか、高品質なコーヒーを栽培する生産者へ利益が還元されるよう、市場価格より高い価格でコーヒー豆を購入するか---スターバックスは後者を選んだ。

 

環境対策、労働環境、品質が一定基準以上にあるコーヒー生産者にはプレミアム価格を払うという自社ガイドラインを公表した。昨年、スターバックスはトランスフェアという組織に参加した。トランスフェアは焙煎業者が高品質の豆に支払う1ポンドあたり1ドル26セントという単位価格のうち、殆どが生産者に支払われるよう保証する。

 

市場価格より高い価格でコーヒー豆を購入するというスターバックスの方針は徐々に進められている。2007年の終わりまでには、購入量の7割を市場価格以上で購入することを目指している。グリーンマウンテン社はこの方針をさらに強く打ち出しており、購入しているコーヒー豆全てをフェアトレード価格にて購入している。
 
フェアトレード認定製品市場が米国の3倍あるヨーロッパにとっては、これは当然のことで、主要な企業がこの流れに乗るよう、訴えている。
 
スターバックスはまた、非営利団体の環境慈善団体CI(コンサベーション・インターナショナル)と共同でC.A.F.E.プラクティス Coffee and Farmer Equity Practices2004年に導入した。スターバックスはさらに、供給元と密接に働き、持続性のある生産事業を行えるよう援助し、さらにそれを行うインセンティブを与えるために、長期契約を提供している。この方法により、さらに供給されるコーヒーの品質を上げるとともに、フェアトレード産業で必要とされる条件を自社が満たすようにしている。
 

地域社会に対して

スターバックスメイクユアマークというプログラムは、トレイルや公園の掃除など、地域社会や非営利団体のプロジェクトを手伝うボランティアを募集している。このキャンペーンは、きっかけ作りの要素を兼ね備える。例えば、店舗を訪れた顧客をスタ−バックスドットコムに訪問してサインナップするように勧誘したり、スタ−バックスパートナー店舗のスタッフが地域社会のイベントに参加することを奨励したりといった具合だ。チェーン店を嫌う地域社会が、スターバックスを歓迎することを考えると、効果絶大といえる。
 

きっかけつくり

毎年スターバックスは実に多様性に富んだ契約先や製品供給元を魅了するような高い業務水準を掲げている。その一例は、スターバックスとジョンソンデベロップメントコーポレーションの革新的なビジネスパートナーシップである、アーバンコーヒーオポチュニティー(UCO)である。これは、両社が半々出費するジョイントベンチャーで、経済的に貧困している都市部のコミュニティーに、雇用の機会、職業訓練、高品質の製品などを提供するものである。今日、2100以上の雇用を102UCOストアーが提供している。

 

プロセス

スターバックスの経営陣は、毎年の活動がどれだけ自社ならびに外部のステークホルダーのためになったかを、定性的に評価している。下図参照。2006年には、CSR 重役会議を設立し、自社の活動を振り返って取締役会に報告した。

 

 
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恩恵
定量的な波及効果は追跡調査されていないが、スターバックスでは上記活動による明確なプラス効果が得られていると捉えている。その効果はパートナーを魅了して関係を維持すること、固定客つくり、低コストの実現、強固なサプライチェーン、事業許可の取得など多岐に及ぶ。
 
課題

スターバックスは、この活動を世界中の店舗にどのように伝えて広めていくか、良い方法を探している。

スターバックスがその自由裁量権を失ったような場合、スターバックスの考え方が考慮されるのかも、また重要な考察課題だ。

 

教訓

責任感をもって企業を築けば、人々が集まってくる。巨大企業においてさえ、社会的責任の考え、行動は、伝染するように広がり得る。

 

まとめ

スターバックスが自社店舗で働く一人一人を尊重していることは顧客にもはっきりとわかる。供給元への投資と長い付き合いの構築によって、高品質のコーヒーを提供することを実現している。スターバックスは卓越した顧客満足を実現しているとの評価を受け続けている。これが肝心な点である。

 
 
©Druckerinpractice

Posted on 12/7/2007